旅の中で

 最近、旅行で中華圏を回っている。久々の感覚もありながら、直近の円安からいかに日本の地位が地盤沈下してしまったのかを考えることになる。2010年代、あからさまに安かったアジアの物価も今の円の価値では到底日本人=お金持ちとは言えないようになってしまった。実際、日本人だからといって特別扱いされることも最近はない。

 

 10年前を振り返る。アジアの中間層の増加の可能性に触れていたあの時期、学生時代の自分は高成長に湧く新興国に希望を持っていた。特に中国は年10%以上成長していた。この世の春を謳歌するように、高成長を達成している。昨日より今日、今日より明日といった形で必ず未来が良くなると信じ切れるような世界観だった。

 

 今は一定成熟し、自由な価値観に触れたことで色々と考えることも増えてきたからか、複雑に考えるような雰囲気もある。中国人としてのアイデンティティも変化しており、今の世代は全く別物であることは間違いない。変わる社会を見てきて、日本の地盤沈下と中国の成熟化、そして、未来に対する考え方の変化が見える気がする。

 

 我々日本人は帰路に立っているが、一方で改善の兆しは見えない。直近の物価上昇が全てを解決してくれるのだろうか。